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 このところ、穏やかな好天が続いていたが、今朝は雨音で目をさました。
 しかし、そうしているうちに朝日が射しこみ、木々や草々に残る雨粒に反
 射して、一瞬、神々しいような光景が現出した。

 昨日の日経新聞読書欄に「2009年の収穫」という恒例企画が掲載された。
 そのなかの俳句ジャンルは、俳人の岸本尚毅が担当している。
 三冊あげられ、やはりというか、眞鍋呉夫さんの句集『月魄』が入っている。
 それは至極当然という気もするが、代表的な句として(だろう)、

    いのち得て封印を切る傀儡(かいらい)かな

 が掲出されていて、このルビは岸本さんがふったのか、編集者が加えたの
 かわからないが、これはクグツと読むべきではないかと思う。

 『月魄』は二百十三句による句集だが、そのすべてとはいわないが、二百く
 らいは好きな句があり、見事な句集である。
 こんなことを書くのはなんだが、普通、だれかの句集を読む場合、二百句の
 うち、いい句だなと思うのはせいぜい十句くらいのものではないか。そんな
 ものなのだ。

 久しぶりに(あまり)酔わずに帰ったので、DVDをみる。
 『純喫茶磯辺』(監督・吉田恵輔 )、『運命じゃない人』(監督・内田けんじ)と
 いう渋い二本立て。両方とも納得できる映画だ。どうということもない日常を、
 それも、いささか欠損がある人々を描く。
 良くも悪くもこれが、現在の日本映画だ。

 いま、NHK第一放送、今年亡くなったアーチスト特集ということで、清志郎の
 「雨上がりの夜空に」がかかっている。変な感じだ。

 おれの今日の任務。窓ガラス拭き、風呂掃除、新聞片付け。
 おれの輝ける才能を、窓ガラス拭き、風呂掃除などなどに費やしていいのか。
 ああ、一度しかない、おれの2009年が暮れていく。


 極月、暮れゆく…
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 11月9日小倉、前夜の深酒のせいか早朝目が覚める。遠くの山が薄赤く霞んでみ
 えた。
 

 面倒なことがメンドーになった。なにかやる気がでないというか、なにごともメンドー
 なのだ。
 あきらかに老化現象であろう。なにしろ出かけることがメンドーなのだ。
 先日、そのことを知り合いに話したら、あなたはそれぐらいがちょうどいい、いつもは
 出かけすぎ、といわれてしまったが。

 ロバート・アルトマンの『ショート・カッツ』(原作・レイモンド・カーヴァー)をうかつにも
 みてしまった。なにしろ189分という長さだ。
 ただでさえアルトマンの映画は登場人物の関係が分かりにくいといわれているのに、
 この長さの群像劇だと、途中うつらうつらしているものだから、おれの場合は最後は
 何が何だかわからない。
 ある町に住む人々の何気ない日常が、ある時点(非日常)に向けて編み上げられて
 いくという手法の映画だが、さすがにアルトマン、構成は上手いものだ。

 小春日和だなどと浮かれていたのはいつのことか。真夜中、寒さと木枯しが谷戸を
 吹き抜ける音で何度も目が覚める。


 
 寒気襲来
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 ある日の寂寥。人は後姿になにをみるか。

 石川九楊の書史三部作といわれる『中国書史』(10194円)、『日本書史』(15750円)、
 『近代書史』(18900円)が、13年を費やして完成した、ということを新聞で読む。
 おれは書にも書道にも無縁であるが、どうしてかこういう本が欲しいのである。
 書にまったく無縁であるが、書いたものをみると、コピーしているのか、書家の内奥から
 出てきたものかくらいは、わかるのだ。
 しかし、だからといって、合計で4万5千円もする本を買うわけがないが、なぜか欲しい
 のである。
 家の押入れには『東洋陶磁器大観』(全12巻)などという本が、粗大ゴミ化して鎮座まし
 ましている。なぜこんなものがあるのか、おれにもわからない。
 物欲というのはちょっと説明しにくいところがある。

 夜、久しぶりに早く家に帰った。それでDVDをみる。
 シドニー・ルメットの『その土曜日、7時58分』と、ピーター・ウィアー『マスター・アンド・コ
 マンダー』 の二本。どちらも娯楽作だが、なにか得をしたような気になる。
 こういう二本立ては家でしかできない。
 今は映画というと一本だが、昔は三本立てなんて珍しくなかった。二本立てのハシゴを
 したこともある。要するに体力があり、ヒマだったということ。
 今までで一番疲れた二本立ては、小倉の昭和館でみた『光州5・18』と『実録・連合赤
 軍』である。トホホ…というしかない。
 わが物欲
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 うらさびしき秋。

 裏山に登る。陽は落ちかけていた。見上げると木々の間に散乱する光がみえた。
 秋。自然凋落のきびしさ、さびしさは永遠に続くのか。
 一人で山に登るとろくなことを考えない。

     大空の斬首ののちの静もりか没(お)ちし日輪がのこすむらさき

                                          春日井 建
 

 
 なんとなくのんびりしたくて小津安二郎の『晩春』(1949年)をみる。この映画はそ
 の後の小津映画のスタイルを決定したといわれ、小津が初めて原節子と組んだ作
 品でもある(そうだ)。
 その中で、原節子が宇佐美淳と鎌倉の海岸を自転車で走るシーンがある。
 何がうれしいのか、原節子はニタニタ笑いながら自転車を漕ぐのだが、突然、ひし
 形の交通標識のようなモノが写り、それがなんとコカコーラの看板であり、現在のロ
 ゴとまったく同じようにも見える。
 映画の公開は1949年、つまり、おれの生まれた年だ。多分、コカコーラというのは
 進駐軍とともに入ってきたものの一つだろうが、それにしても看板が出ているという
 ことは、一般にも販売されていたのだろう。
 おれの生家は両親が桜沢如一を信奉するガチガチの菜食主義者で、チョコレートと
 かジュース等の飲料は殆ど毒ということで、おれが初めてコーラを飲んだのは、高校
 二年のときで、それも隠れて飲んだのだった。
 コカコーラは1949年当時から一般的に普通に飲まれていたのだろうか。
 
石原慎太郎が『太陽の季節』で芥川賞を受賞したのが1956年のことだ。『太陽の季
 節』の舞台は逗子海岸である。なんとなく、彼ら太陽族、慎太郎や裕次郎はコカコー
 ラをラッパ飲みしていたような気がしないでもない。
 ところで、原節子の叔母が杉村春子で、その旦那を演ずるのが青木放屁である。青
 木放屁と突貫小僧は異母兄弟だと、何かで読んだ気がする。

 小津映画とコカコーラ
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 御茶ノ水、聖橋。雨のあいまに。 

 富山のM上夫妻から、新米を送っていただく。
 箱には、
       良質な水と土で精魂込めて作りました。
       おいしいお米をどうぞ御賞味ください。
 と、ある。
 おれは、こういうのに弱いのだ。ハイッ、いただきます、となる。

 先日、新宿小田急ハルクの鮮魚売場で、まるまるとしたスルメ烏賊が4杯で
 500円だった。刺身や酢漬けで食したが、耳やゲソは今年初めての塩辛にし
 た。
 湯気のたつ新米ごはん。去年漬けたサンマの糠漬けを焼いて、それに塩辛、
 味噌汁あとは、少しの漬物があれば最高。
 こんな塩辛いものばかりで、満腹になるまでタンパク質を食べているのだから、
 おれは短命であろう(多分)。なにかおれに送りたいものがある人は、はやく送
 った方がよいと思う。

 どうでもいいことだが、石原慎太郎はオリンピック招致に150億円使ったそうだ。
 そもそも万博とかオリンピックって、未整備の都市を整備するための仕掛け。も
 う東京には要らないものだ(練馬-世田谷外環道とかも、み直されるのでは?)。
 オリンピックを!などと大声を出しているのは、知事とそれで食おうとしている人
 だけだ。
 1年間に15億、10年間で150億かけてバウハウスのような「学校」をやったらど
 れだけよかったか。
 まぁ、そういうことはわからない人だろうけれど。

  30年ぶりくらいに「御茶ノ水」で酒を飲む。久しぶりに飲む相手が指定した店が
 御茶ノ水だったというだけだが、御茶ノ水の街もずいぶんと廃れた感じで、学生
 が少なくなるというのはさびしいもんだ。
 そうそう、少しおおげさにいうならば、御茶ノ水の駅前から神保町交差点まで、
 人で埋まったことがあった。
 
 家に帰り、あまり酔っていないので、ヴィム・ヴェンダースの『東京画』をみる。
 多分、公開(確か90年前後)されてすぐ見たと思うけれど、殆ど忘れているもの
 だね(おれの場合)。
 見終わって妙に静かな気持になってしまった。
 秋の雨。瓦を打つ雨音をききながら、ぐっすり眠った。
 新米来たれり…
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 或る夜。

 久しぶりに、家でDVDをみる。
 『桜桃の味』のアッバス・キアロスタミ、『木靴の樹』のエルマンノ・オルミ、
 『麦の穂をゆらす風』のケン・ローチの監督3人が共同監督を務めた『明
 日へのチケット』を観る。
 4.5年前に公開された映画だが、なんとなくおおげさに感じられてみてい
 なかった。
 まぁ、三人が撮った映画です、最後は何かほのぼのとして、家で観る映
 画としてはいい。

 楽しみな映画がある。是枝裕和が監督する『空気人形』。
 いうまでもなく原作は業田良家の『ゴーダ哲学堂 空気人形』である。
 原作は、せつなく儚い寓話。たまに(何年かおきに)本棚から取り出して
 読む。深い喪失感に覆われた漫画。
 業田良家は、漫画でしか表せない仕事をしている作家の一人だ。
 主演は『リンダ リンダ リンダ』のペ・ドゥナ。

 この季節になると思い出す歌がある。 

   夏と秋と行きかふ空の通ひ路はかたへ涼しき風や吹くらん   
                                      (古今和歌集/凡河内躬恒)

    この寝ぬる夜の間に秋は來にけらし朝けの風の昨日にも似ぬ  
                                      (新古今和歌集/藤原季通)



 空の通ひ路
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小倉駅の裏(?)に「井出商店」というおおざっぱだが、よい角打ちがある。
夏の夕方など井出商店に向うと、ふと、潮の匂いがする。井出の近辺の写
真だが、すぐ向こうは海だ。

昨夜は某A新聞の記者と新宿で呑む。面白がっているうちに最終電車に遅
れそうになる。
品川で乗り換えると偶然、座席が空く。品川から戸塚まで熟睡。そういえば
行きの電車も北鎌倉くらいから東京まで覚えがなく、13日の北九州から羽
田間も熟睡してしまい、羽田着陸の衝撃で目を覚ました次第。おれは疲れ
ているのだろうか。それとも酒のせいか。

深夜、『按摩と女』(1938)をみる。日本映画の幸せな時代に撮られた作品。
名手、清水宏の天賦の抒情性が深い余韻を残す。
1938年は、戦争準備のための国民総動員法が公布され、雨のブルースや
旅の夜風がヒットして、行くての暗さを予感させるが、日本映画の幸せな時
代の作品といえるとすると、日本社会も幸せな時代だったと敷衍することも
可能だろう。
映画の中には、按摩と学生の殴り合いなど、今なら大変なコトになるであろ
うエピソードもでてくるが、今風にいえば障害者と健常者の喧嘩が問題にな
らないということは、それだけ社会が健全だったのだ。
清水宏の作品は以下のものをみたが、とてもいい。

   『有りがたうさん』(1936年)
   『風の中の子供』(1937年)
   『按摩と女』(1938年)
   『信子』(1940年)
   『簪』(1941年)



 深夜映画劇場
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 3月22日、早朝。嵐がくる予感がなんとなく感じられませんか。

 22日から23日にかけて強風が関東圏を吹き荒れたようだ。
 新聞によると成田空港で23日朝、貨物輸送機が着陸に失敗し
 て炎上、乗員2名が死亡とのこと。
 それに、昨日今日となにやら寒い。寒の戻りか、風邪をぶり返
 す人もいるだろう。

 昨夜は島津保次郎の「隣りの八重ちゃん」(1934)をみる。
 1930年代は松竹蒲田のいわゆる“小市民映画”が一時代を画
 したときである。
 監督としては小津安二郎(「生れてはみたけれど」)、清水宏
 (「人生のお荷物」)、成瀬巳喜男(「腰辨頑張れ」)、そして島津
 保次郎であり、「隣の八重ちゃん」はその代表作とされるらしい。

 1920〜30年代は、団塊の世代の親の世代が、特に地方の次
 男、三男が東京、大阪などの都市圏に大量に流入し、都市郊
 外に土地と家を持ち始めた時代である。
 が、道路は未舗装で、なによりも家に風呂がなく、隣の家に声
 をかけて銭湯に連れ立ってゆくという微笑ましさだ。
 家の外観は洋風だが普段は着物であり、隣家との親密性など、
 農村共同体がそっくり都市郊外に移り住んだというようなものだ。
 女子高校生である「八重ちゃん」は「はばかりさま」などというへ
 らずぐちをたたく。いまどき、はばかりさまなどという言葉を使う人
 がいるだろうか。
 ちなみに、助監督として豊田四郎と吉村公三郎が、撮影助手と
 して木下惠介の名前がある。

 
 それにしても寒い。


 寒の戻り
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 新橋。お父さんの聖地もこんな表情をみせる瞬間がある。
 春の夕暮れは群青の空だ。


 例によって新橋「大露地」で呑む。ここは酒も肴も基本的に300円である。
 トマトハイという不気味な飲み物を、おじさんたちは粛々と飲んでいる。
 ケロロ軍曹、京部氏と8千円近くも呑む。深く反省。

 今夜の「おれんち映画劇場」は、徳田秋声原作、新藤兼人監督の『縮図』
 (1953)をみる。
 ぬかるんだ泥道、今にも倒壊しそうなしもた屋、ひと一人がやっと抜けられ
 るような路地。
 おれにとっては、現在のピカピカの街よりもずーっと馴染みがある。
 乙羽信子は「名女優」であることは言を俟たない。しかし、どこにその良さ
 があるのかがわからなかったが、『縮図』をみるとその良さを教えられる。
 「貧しさ」から遁れようと必死で生きる女の健気さ、若さ、可愛らしさ。
 それは大人につけ込まれてしまう「人の良さ」と重なっている。
 父である宇野重吉の演技がまるでクサイ。
 例によって助演陣が豪華絢爛。
 山田五十鈴 山村聰 宇野重吉 山内明 殿山泰司 沢村貞子 菅井一郎 北
 林谷栄などなど。
 殿山泰司は女衒、人買い役。

   三月の風人買いのやさしさで
                          穴井 太



 春の夜は映画でも…
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