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 『寺山修司青春歌集』 (1971・角川文庫)、寺山にとって初めての文庫本である。

 この文庫本が、おれの手許に来た来歴を思い出そうとしたが、なにも思い出せない。
 この寺山修司青春歌集は世界に一冊しかない。
 要するにどこかのだれかが、私家製本しようとしたもので、というのは、まだ表紙さえ
 着いていないのだ。
 見返しと遊び紙が薄い金属紙になっており、中表紙と著者写真(右側)の間にも金属
 紙(左側)が挟まっている。
 それで左側に鏡のように反転して寺山が写っている。
 寺山修司は1983年、47歳で亡くなったので、正確なことはわからないが35歳前後
 の写真であろう、若いときの証明のように頬も削げている。
 この未完の私家製本本は、寺山がなくなった83年には既におれの手許にあった。
 それからさえ25年の時が過ぎた。


           みんなが行ってしまったら
           わたしは一人で手紙を書こう
           みんなが行ってしまったら
                                      「レミング」寺山修司

 青春歌集って?
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 金木犀、散る。雲間から陽が差し込むと、金色のように光って小庭は一瞬華やかになった。 

 黒沢清の『トウキョウソナタ』を観た。 
 家も家族もこの映画のようにいとも簡単に崩壊するが、この映画のように簡単には再生しない。
 なぜ黒沢清は家族の崩壊を簡単に救済するのか。黒沢清には「世界」がこのように見えているのだ。
 黒沢清の絶不調は続く。

 久しぶりに、
 漂流物書店古書目録 11-12

 No11『私の絵日記』 藤原マキ  北冬書房   1993年
 No12『私の絵日記』 藤原マキ  学習研究社 2003年

 No12は基本的に北冬書房のものを文庫化したものだが、違うのは1999年に藤原マキは胃癌で亡
 くなって、学研版には、つげ義春による「妻、藤原マキのこと」という談が載っている。

   でも振り返ってみますと、わりといざこざの多い仲ではありましたけれど、お互いに冷淡なところは
   なかったので、関係としては、それなりに濃密だったのではないかと思っています。僕はマンガ家と
   いう職業柄いつも家にいますから、一般家庭とくらべると、妻子と一緒に過ごした時間は長かった
   わけです。その分煮詰まって、お互いの思い入れも濃くなりすぎて、相手との距離も保てなくなって
   いたのではないかと、そんな気もしているのです。反発し合いながらも、同時に依存もしていたので
   はないでしょうか。だから先立たれてからは、僕はひどい喪失感、虚脱感を覚え、もう何をする気力
   もなくしてしまったような気持ちになっております。(談)

 寂寥。
 北冬書房版のオビ、せつないほど 静かな絵日記、とある。
 何かで読んだ嵐山光三郎の書評。
 「もう一人のつげ義春がここにいる」




 日がたつのが速い、もう15日だ
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 家。夜。

 時々、恵文社一乗寺店メールマガジン「一乗寺通信」というのが届く。
 今号の特集の一つは、
  ◇ 1960年代の美術手帖 ( 期間限定 )
    今年で創刊60周年を迎えた御馴染みの美術評論誌『美術手帖』。
    今回は、先鋭的で大胆な編集が素晴らしい1960年代発行の同誌をご紹介します。
 というものだ。
  
 ほとんどが、1050円という価格のなかで、高価なものもある。

   美術手帖 1960年7月増刊号 特集:グッドデザインへの招待
   グラフィスなんかのデザイン誌を集められている方も必見の一冊  税込価格:¥2,625

   美術手帖 1962年4月増刊号 特集:現代のイメージ
   真鍋博によるトレーシングペーパーの重なりを巧みに操った「透明な地図」は他では見ることの出来ない逸品  
   税込価格:¥7,350

   美術手帖 1970年7月増刊号 特集:EXPO’70 人間と文明
   人気の高い万博特集増刊号!  税込価格:¥5,250

 本屋さんも、このようにキュレーションというか編集プロセスを入れないと、生き残れない時代になった(とうに)。

 そこで久しぶりに、
 漂流物書店古書目録 8-10

 No08 美術手帖 1967年11月 特集:ボナール  日本のアンダーグラウンド・アート
      故羽永光利による石井満隆、天井桟敷、ゼロ次元、四谷しもん、状況劇場、風倉匠の写真が巻頭を飾る。
      おどろおどろしさの割りには、健全なよき時代が感ぜられる。

 No09 美術手帳 1971年5月 特集:概念の芸術と芸術の概念  ヨゼフ・ボイス
       巻頭口絵 「ビートルズ」-構成デザイン・横尾忠則

 No10 美術手帳 1971年8月 特集:都市への挑戦
      「都市は変えられるか」というタイトルで吉本隆明と磯崎新が対談している。






 恵文社一乗寺店という本屋
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 新橋、18時20分頃。地上は右翼の街宣と待ち合わせのおトーサン達ですごい熱気。
 ダメもとで大衆酒場「大露路」にいった、3人すんなり座れた。数分後からひどい混雑。
 なにしろここは酒の肴がすべて300円。

 きのうの朝日朝刊に“『赤色エレジー』カナダで英訳版、という記事が載っていた。
 4.5年前から、つげ義春など『ガロ』系の漫画家の問い合わせが、仏・英語圏の出版
 社から多くなっているとのこと。

漂流物書店古書目録 5-7
 ・『赤色エレジー うた絵本』あがた森魚/林静一 幻燈社 昭和47年2月25日
  ドーナツ盤レコード(A面・赤色エレジー、B面・清怨夜曲)・めんこ・ぬりえ・ハガキ二葉
  付き

 ・あがた森魚『アカシアの雨がやむとき−亡きAに捧げるタンゴアカシアーノ』
  B面・『花嫁人形』
  あがた森魚のシングル「アカシアの雨がやむとき」1979年6月録音。副題の亡きAとは
  フリー・ジャズの阿部薫のこと。ライナーノーツ・鈴木いづみ 友情出演・小杉武久、
  銀粉蝶

 ・「風花屋」燐寸。意匠・林静一

 
 赤色エレジー
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 三軒茶屋・ふくべ小路

   ──渋谷から玉川電車で、四つめが昭和女子大のある三宿、その次が三軒茶屋、
   そこから線は岐かれた、左へ行けば駒沢から二子玉川へ、右が西太子堂を経て
   下高井戸という駅の順序だが、(略)

   「こんなところにあったんですね」
    広い境内に歩み入りながら、ぼくは感慨深くいった。青い薔薇――目青不動
    ――そして放火。ひどくとりとめもないようでいながら、牟礼田さんがしきり
    にいっていた奇妙な暗合の意味が、おぼろげながらも判るような気がする。

                            『虚無への供物』塔晶夫(中井英夫)

 写真奥に聳え立つ「人参塔」の影が途切れるあたりに「目青不動」は現存する。
 また、そのすぐそばに焼鳥(焼トン)の名店「富士」はあった。

 漂流物書店古書目録 3-4

 『虚無への供物』塔晶夫(中井英夫) 東京創元社  2000年
  建石修志の装丁・装画がすばらしい。

 『火刑都市』島田 荘司 講談社  1986年
 『虚無への供物』と放火つながりということで。 


 
 2008年・初夏
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 夏だっ!風の吹く日。

 ひとは誰でも一度くらいは「古本屋」になりたいと思ったことがあるのではないか。
 ぼくはある。
 それも実現寸前というか、寸々前くらいで泡と消えた(ご迷惑をかけたみなさん、すみません、もう少しで「総括」します)。
 その準備期間中、一番熱中したのが「屋号」を考えることだった。
 いろいろありましたが(「道草書房」とか)一番気に入っていたのが「漂流物書店」。
 あらゆる現象って「どこからか漂って来てどこかへ往く」ものですし、人も人生も、モノ(本)も。
 漂流といえば、むかしむかし、淺野幸彦さんと「漂う音楽(ムジーク・エパーブ)」というタイトルでコンサートとか出版とか
 やりましたけれど。
 というわけで、ワタクシメが持っている本を少しずつ目録化しようと思いついたわけです。

 その初回。

 『本本堂未刊行図書目録』坂本龍一                1984・朝日出版社  500円
 『らくだこぶ書房 21世紀古書目録』クラフト・エヴィング商會 2000・筑摩書房  2000円
  
 『本本堂未刊行図書目録』のなかには荒唐無稽な、
 『往復書簡 ウイリアム・バロウズ──出口王仁三郎』武邑光裕編、
 という本から、
 『ソン・メタリック ヘルメス音楽論』浅田彰著 (『ヘルメスの音楽』筑摩書房 1985)
 『森のバロック 南方熊楠論』中沢新一 (『森のバロック』せりか書房 1992)
 などのように、その後実際に刊行されたものまで、多彩。

 『らくだこぶ書房 21世紀古書目録』は、
 『羊羹トイウ名ノ闇』須田正太郎 東京日月堂 2048年
 『7/3 横分けの修辞学』堂島横分け倶楽部編 堂島横分け倶楽部 2036年
 『月天承知之助・巻之一』不明  不明  2040年頃
 などというように、未来に刊行された(?)書物案内です。
 最後にこの『らくだこぶ書房 21世紀古書目録』が送られてくるのですが、読みすすめるうちに、どこから
 か砂が降ってきて、この本を覆い尽くしてしまうという不思議な本です。この説明ではわかりませんよね。

 このように「漂流物書房」の目録には奇書・珍書の類が掲載されるわけではありません。値段の高低も
 まったく関係ありません。強いていうならば「どーうです、いい本でしょ」とワタクシが思う本のみを掲載す
 る予定です。

 
漂流物書店古書目録
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